俺はなぜここにいるのか?
斜度14%の坂の途中で気づいてもあとの祭りだ
普通に生きていたら決して足を踏み入れないだろう坂に自ら足を向けたのだ
なぜここにるのか?そんな哲学的な悩みが浮かぶのも当然だろう
なぜここにいるのか?という問いには別の意味が含まれている
なんでこんなに辛いことをやっているのか
である
辛いのならやめればいい
坂を上るから辛いのだ
足を止めて サドルから降りればいい
後ろを振り返ってホイールの向きを変えれば
これまで最大の敵だった重力が 最高の味方になってくれる
足をついたら負け
坂の途中で逃げ出したら負け
いつから自分はそんなに強い人間になったのだ?
仕事でもそんなに追い込むのか?
答えは NO だ
やはり ヒルクライムには人を死地に向かわせる不思議な魅力
いや魔力と言った方が正しいだろう
人を狂わせる不思議なものである
坂を上り切った先には素晴らしい景色がある
しかしながらリピートヒルクライムは別だ
見慣れた景色が待っている
いくら素晴らしい景色でも 何度も見てしまえば
感動も色あせてくる
そんな感動を一気に過去最高レベルに引き上げてくれる華がある
それは 自己ベスト という戦いの結果だ
追い込めば追い込むほど会うのが難しくなる華に会うために
今日もまた坂を上る
悲しきヒルクライマーの習性だ
毎日ペダリングを続けることで綺麗な華を咲かせるための土壌を作るのだ